美しい革靴ブランド『forme(フォルメ)』|やっと届いたので、存分に語ります
最高のプレーントゥシューズ
超〜久しぶりに、
新しい革靴を購入しました。
と言ってもオーダーしたのは半年前で、やっと手元に届いたんですけども。
個人的に"プレーントゥなら、このブランドが一番美しい"と思っている、
『forme(フォルメ)』の革靴について、ご紹介していこうと思います。
『forme』という革靴ブランド
『forme(フォルメ)』は浅草にアトリエを構える、デザイナー小島明洋氏によって2009年にスタートした日本の革靴ブランド。
クラシカルなデザインをベースに、現代的アップデートを施した独自の靴を展開する。
日本の革靴ブランドなんて、
まぁ言っちゃえば山ほどあるわけですけども、
この『forme』に関しては、その中でも独自性があるブランドだなぁと思うのです。
- 使う革はキメ細かく良質
- 製造の各工程を「それぞれ得意な工房に任せている」という、モノ作りに対する拘り
- デザイナー自身が木型を造り、定期的にアップデートしてる
- ブランド名を体現するような、革靴自体の独特な造形美(フォルム)
formeと似たような革靴を探しても、なかなか見つからないんですよね。
また、その造りの丁寧さも、熟練の靴職人さんも認めるほどだとか。(取り扱いショップさん談)
そのぶん価格帯としては、
およそ"¥60,000〜¥80,000"くらいとお高めなんですが、、、
それにも関わらず、
根強いファンが多くリピート購入者も続出するそうで。
『forme』というブランドが、
如何に魅力的かってことがわかります。
受注会とカスタムオーダーの話
現状、残念なことに『forme』の取り扱い店舗は多いとは言えません。
加えて、タイミング次第では在庫やモデル数が少なかったりと、実物を見る機会は限られています。(↓ストックリスト)
なのでぼくは、
「絶対に受注会でオーダーする!」ってことを決めていました。
『forme』では定期的に、取扱店舗で受注会を行ってまして。
定番、新作、アーカイブと多くのモデルを見られるだけでなく、以下を自分好みにカスタマイズ可能なんですね。
- 革
- 製法
- 木型
納品まで数ヶ月かかったり、
モデル毎に制限はあったり、
近くに店舗がないと見られないという点はあるものの、『forme』の靴をたっぷり見られる貴重な機会となっています。
ぼくは恵比寿の『RECTOHALL(レクトホール)』という店舗で昨年12月にオーダーしました。
受注会と言うと大袈裟なものをイメージされそうですが、店舗の一角にスペースが設けられてて、普通の商品と同じく自由に見ることができます。
気になるものがあれば店員さんに声掛けすればよいだけ。
そこで色々と教わってきたので、
「オーダー会では具体的にどのようにカスタムできるのか?」を共有しておこうと思います。
革の種類
formeでは、主に以下の2つの革が用意されてます
- 『ベビーカーフ』
牛の革。
成牛の皮よりもキメ細かく、ツヤがあるルックス。
硬くしなやかな履き心地。 - 『アンカルホース』
馬の革。
新品はマットな質感だが、履いてケアするにつれ光沢がでる。
革が柔らかく、特徴的な履き皺が出る。
他にも、選ぶモデルや開催店舗・タイミングによっては、
- バケッタ製法で作られた『リバースカーフレザー』
- 細かいシボが特徴の『アルノカーフ』
- 革好きの憧れ、『シェルコードバン』
などもあるみたい。
(他にも色々あるっぽい。↓はリバースカーフ)
このあたりはご自身の好みや、欲しいモデルで使用できる革と相談になると思います。
木型(ラスト)
『forme』は定期的に木型がアップデートされるんですが、受注会では木型を選ぶことができます。
ぼくが行った時には、
以下2種類の木型から選べました。
(もしかしたらもっとあったかもしれませんが、今は主に以下の二つだと思います)
- 『ラスト9』
1個前の木型。
全体的にぽってりしてて丸みがある。 - 『ラスト10』
新しい木型。
つま先がシュッとしてドレス寄り。
これらはたしか同じサイズだった…はず。違ったらごめんなさい。
ぼくが実際に履いた感じでは、
サイズは結構変わるように思いました。
もちろん足の形や選ぶモデルによるんですけども、ぼくの場合はプレーントゥでハーフサイズ分くらい違いましたね。(ラスト9の方が小さい表記のサイズで履けた)
製法
靴の製法も選べます。
カスタマイズ性すごい〜。
- 『マッケイ製法』
コルクが少なく、コバが薄くて見た目シュッとしてる。
グッドイヤーに比べて修理できる回数は少ない。
価格がグッドイヤーより安い。 - 『グッドイヤーウェルト製法』
コルクが多く、こばの厚みがあってズッシリとした見た目。
オールソールできる回数が多いので、長く履ける。
価格がマッケイより¥8,000くらい高い。
長く履きたいならグッドイヤー、
見た目スッキリ重視ならマッケイという選び方でいいんじゃないでしょうか。(月並みなコメント)
が、店員さん曰く、
「マッケイ製法でもブランドに修理を依頼すれば、グッドイヤーと同じくらい長く履ける」とのことでした。
その分時間がかかったり、郵送や手続きの手間はかかっちゃうんですが、「マッケイで長く履きたい!」という方は考慮に入れてもいいかもしれません。
購入したモデル・特徴・サイズ感
で、受注会の結果。
ぼくが選んだモデルは、
- 外羽プレーントゥ(fm-708)
- アンカルホースレザー
- ラスト9
- グッドイヤー製法
です!最高!
このモデルを選んだ理由
それぞれ選んだ理由ってのをお話しすると。
外羽のプレーントゥを買うってことはずっと心に決めていました。
意外と"プレーントゥ"って形の革靴を1足も持ってなかったんですが、
『forme』の美しさはプレーントゥでこそ映えるって勝手に思ってたんで、ここは迷わずでした。
アンカルホースレザーにしたのは、
履き皺の出来方がカーフレザーよりも好みだったから。
馬革で柔らかく、うねりのある皺ができるんですよね。
当初はカーフレザーにするつもりだったんですけど、当日アンカルホースのサンプルを見て一目惚れ。
急遽予定を変更したのでした。。
グッドイヤーウェルト製法を選んだのは、単純に長く履けるから。
見た目がシュッとしているマッケイ製法も魅力的だったし、先述したようにブランドに依頼すれば長く履けるとのことだったので、当日すごく悩みましたが。。
しかし、昨今のグッドイヤー信仰に毒されているので、自分の心に従ってグッドイヤーに。全く後悔してないので良い選択だったと多います。
木型についても、
ラスト9(以前の木型)にすることは決めていました。
元々このブランドを好きになったのがこの木型だったので、木型が新しくなったと聞いて残念だったんですよね。。
今だと、店舗で既製品を購入するとどうしてもラスト10になっちゃうので、そういった意味でも受注会で買いたかったんです。
また、細かいですが、
プレーントゥのラスト10だとハトメが表に出たモデルしか選べなかったらしく、
今回『裏ハトメ』を選びたかったので、やはりラスト9が欲しかったです。
ちなみに、このモデルで価格は"¥64,000+TAX"でした。※購入当時価格
(オーダーによる上乗せ料金、みたいなのは取られませんでした)
見た目と履き心地
やっぱり改めて、見た目が美しいなぁと思いますね。
なんかアンティークみたいな雰囲気がある、と思うのはぼくだけでしょうか。
「カジュアル」って印象はそれほどなく、上品さが感じられます。
実は昔『forme』の靴は持ってたんですが(詳しくは後述)、履いてると「それどこのですか?」って結構な頻度で聞かれてたんですよね。
多分『forme』は、
そのくらい人を惹き付ける雰囲気があるんだと思います。
そして見た目もさることながら、『forme』で忘れてはいけないのが、その履き心地。
よく「包み込まれるような履き心地」と例えられることが多いんですが、実際履いてみると納得できる表現なんですよ。
恐らくそれは、
特徴的な踵と土踏まずのおかげ。
履き口は狭く細く、
くびれてホールドするような形になっています。
土踏まずもグリッとえぐれた?ような曲線。
初めてフォルメの革靴を履いた時は、「え、新品でこんなにふんわりホールドされるの…?」と衝撃でしたね。
この履き心地は、
是非一度試してみて欲しいものです。
サイズ感について
見ていただいた通り『forme』の革靴は形が特徴的で、サイズ感も結構独特だと思います。
実は昔、それで失敗しちゃってまして…
というのも、
ぼくは以前にも『forme』の革靴を買ったことがあったんですが、サイズが小さくて手放してしまったという苦い思い出…
当時はラスト9の"サイズ5H"を選んだんですが、
左足のつま先が当たってしまってダメでしたね。(右足はセーフ)
当時試着した時には「つま先が当たるか当たらないか」くらいの微妙なラインで、かなーーり悩み…
結果、ショップ店員さんの
「formeは元のサイズが大きいしコルクも沈んでくるので、つま先も気にならなくなりますよ」というアドバイスに従ったのでした。
しかし、それが大失敗…
「試着時につま先が当たりそうなら、そのサイズは合ってない」と考えるようになりました。(つま先は履き込んでも伸びたりしないので)
そんなこんなで、
今回はラスト9の"サイズ6"を選択。
つま先が当たることなく、「やっぱりこのサイズが正解だったなぁ…」と安堵しています。
ちなみに、ラスト10であればハーフサイズアップの6Hがしっくりきました。(6だと左足のつま先が当たった)
試着は絶対した方がいいと思いますが、先ほどのZOZOMAT画像と照らし合わせて、サイズ選びの参考になれば幸いです。
お手入れ・履き下ろし
ぼくは新品の革靴は
必ず履き下ろす前にプレケアを行ってます。
ということで、その様子もお伝えしておきますね。
履き下ろしのプレケア
まずは馬毛ブラシで埃落とし。
そのあとは保湿。
使うのは、例のごとく『Collonil(コロニル)』の1909シュプリームクリームデラックス。
以前の記事にも書きましたが、これを塗ると革が柔らかくなって、良い感じの皺が入ってくれるんですよね。(自身の経験談)
ペネトレイトブラシでクリームを入れたら、豚毛ブラシで満遍なく行き渡らせて
仕上げにグローブクロスでふきふき。
靴の内側にも指でクリームDXを塗り込んでおきます。
最後に、靴の中のカビ対策として、モールドクリーナーをシュッと。
いつもこんな感じで革靴のプレケアを行ってます。
で、ビフォーアフター。
…クリームDXによってかなり光沢が出ましたね。笑
アンカルホースのマットな質感は失われましたが、まぁこれは分かってたことなのでOK。ただ、元のマット感を楽しみたい場合はこの方法はオススメできません。
あと、新品の革靴のお手入れが久々で、加減が分からず少しクリーム入れ過ぎちゃった感はあるかも…笑
リムーバーで拭くことも考えましたが、更に負担与えちゃいそうなので、時間が解決してくれると信じてこのままにしときます。
ちなみに、
『forme』でオススメしているケアアイテムは『Renapur(ラナパー)』いう商品だそうな。
今回初めて存在を知りましたが、ビーズワックスやホホバ油などの天然成分を使った保湿剤で、色んな種類の革に使えそうです。
「ブランドの意向に沿ってケアしたい!」という方は、こちらの商品をチェックしてみてください。
皺を入れる
そしていよいよ、皺入れの儀式。
これは、いつになっても緊張します…
甲の装飾がないプレーントゥは、履き皺そのものが装飾になるようなもの。
この瞬間によって革靴のルックスが変わるという、革靴の将来に対する責任を担うような…(考えすぎ?)
特に今回は、オーダーしてから納品まで半年も待った代物なので、失敗したら発狂しちゃうでしょう…
というわけで慎重に。。
まずは軽く踏み込んでみて、どこに皺が入りそうか目処を立てます。
少しずつ皺を入れていって、
覚悟が決まったタイミングで思いっきり踏み込みます。
結果は、以下のようになりました。
…「満点の皺!」とは言えないですが、まぁ個人的には"及第点"かなと。
皺入れする時に感じたのは、
「アンカルホースの革がすごく柔らかくて、カーフの皺と全然違うな」ってこと。
好みにもよりますが、この柔らかい皺の感じを狙って購入してたので、ここは良かったと思います。
シューキーパーどうする?問題
新品の革靴を買ったら一緒に買っておきたいのが、靴の形を整えてくれる「シューキーパー」。
オーダーした際にオススメのシューキーパーを伺ってみたんですが、
その回答が意外で、
デザイナーさんは革靴にシューキーパーを入れないらしく、ガンガンと履いてらっしゃるみたいなんですね。
「シューキーパーは絶対!」みたいに考えてたぼくとしてはちょっと驚きでした。
でももし、シューキーパーを入れるのであれば…
シューケアメーカー『R&D』が扱っている『サルト・レカミエ』シリーズか、
シューツリーブランド『コルドヌリ・アングレーズ』のものが良いそうな。
で、ぼくが何を買ったかっていうと
みんな大好き、『コロニル』のシューキーパーです。
「オススメ聞いておきながら別の買うのかよ!」っ言われそうですが…
コレを買った理由としては
- 紹介いただいたシューキーパーは価格がお高め
- 靴が最近届いて、外出が難しく試着できなかったので、シューキーパーのサイズが分からない
- 価格が高いぶん、ネットで買うのはサイズミスが怖い
- それなら、そこそこの価格でどんな革靴にもある程度フィットする『コロニル』を買おう
って感じ。
コロニルのシューキーパーの何が良いかって、上記書いたように"どんな革靴にもある程度フィットする"ことだと思います。
なのである意味「これ買っておけば間違いない」みたいなシューキーパーだと個人的には評価してます。(シダーの香りも良いし)
ただし、「ある程度」ってのがポイントで、逆に言えばピッタリとハマることはあまり無い気がするんですよね。
踵もビッタリ入ってるかと言うと、そうでもなさそう?
横から見ると甲が低く、
甲高の靴はしっかり皺を伸ばせなかったりします。
なのでしっかりと革靴に合わせたい、という方には不向きかと。
今回のように「サイズが合うシューキーパーがわからない」みたいな時に重宝するヤツだと個人的に思っています。
ちなみに、
formeのサイズ6だと、コロニルシューキーパーは「Men’s Mサイズ」(26~27cm相当)で合ってそうでした。
ハーフラバーとトゥスチールは付けたい
『forme』の革靴では、レザーソールが採用されております。
レザーソールは、
- 湿気を逃しやすい
- ソールの返りがいい
- 見た目かっこいい
と言ったメリットはあるらしいんですが、ぼくはいつもハーフラバーを張っちゃいます。
理由は単純で、
レザーソールはめちゃくちゃ滑るから。
昔、雨の日に駅構内で滑ってからはハーフラバーを貼るようにしています。
お店で頼むと¥3,000くらい。
また、同時にスチールトゥも付けちゃおうかと。
レザーソールは削れやすく、
特につま先とかは"数ヶ月で修理行き"、なんてこともありえるそうな。(頻度や環境にもよります)
お店に修理をお願いすると¥2,000くらいは取られるので、数ヶ月ごとに取られるのはお財布に痛過ぎる…
それを防ぐための補強手段が、スチールトゥなんですね。
これを付けとけば、次のオールソールまで(数年くらい)はつま先修理不要ってくらい保つらしいです。
トゥスチールはお店に頼むと¥5,000くらいと少しお高めですけども、その価値は十分にあるかと思います。
念願、かなったり
先述した通り、
『forme』の革靴を買うのは2度目。
一度手放しても忘れられないほど、ぼくにとって魅力的な革靴だったんです。
「いつか絶対に買い直す!」と決めていた革靴が、やっーと手元に。
今回は手放すことなく、
長く長く、大切に履いていきたいと思います。